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新築一戸建て分譲市場の2018年上半期

投稿日:2018年10月18日

 新築一戸建て分譲市場の2018年度上半期(2018年4月~8月まで)は、住宅着工が6万128戸(前年同期比+4%。国土交通省調べ)、推計契約戸数が5万3000戸(前年同期比▼5%。戸建分譲研究所調べ)、月末販売在庫が5万1000戸(前年同期比+14%。戸建分譲研究所調べ)で「着工増・契約減で在庫増」でした。そのため契約率は22%(前年同期比▼10%。戸建分譲研究所調べ)と契約率は好不調基準の25%を切り「低迷」となりました。
 平均販売価格は8月末で3233万(前年同期比+3%)と上げています。ただ5月末は3264万でしたから、そこからは下げていて「伸び悩み」といえます。
契約率低迷の大きな理由は需要供給ギャップになります。
人口などのマクロ指標からの新築一戸建て分譲の需要推計は2018年4月~8月では5万7844戸になります。それに対して供給が6万128戸なので供給過剰率は104%で2284戸多いと計算されます。さらに、推計契約戸数が5万3000戸ですから需要顕在化率は92%で5000戸弱が潜在化しています。
 新築一戸建て分譲の最多購入年齢帯となる30歳前半の平均年収は403万円なので年収の6倍とすると2418万となり、販売平均価格3223万とは▼805万と大きな乖離があります。ただ超低金利により住宅ローンが組みやすいために、金利1.5%で返済比率30%とすれば3290万まで買えることになり、現在の販売平均価格を上回ります。そのため直近は「超低金利で建築費増加で税制優遇のために買い時感が高い」とされているため、賃貸ファミリー層が動いていました。それが昨年来のマイナス金利で「煽り」で将来需要を先食いをしていたのと、金利が少し上がり超低金利の「終わりの始まり」により「買い時感」がやや後退しています。
 そして、時代的なベースとして「シェアムーブメント」があります。シェアハウスにカーシェアが若年層ではブームとなっていて「所有するなんてバカじゃない」という風潮になっています。トヨタ自動車もいよいよカーシェアを始めることになりした。
 持家においては、世帯数減少で住宅ストック過剰により新築需要はマクロ的にも減っています。そこに価格上昇により「中古住宅リノベーション」が注目を集めています。今後は50万戸を超える市場になると考えられ、新築一戸建て分譲を圧迫することになります。
 都会では中古マンションリノベーションが主流となり、土地の安い地方ではローコスト注文住宅が主流となっていき、新築一戸建て分譲の潜在需要が大きく減少しています。
 2018年下半期は消費増税駆け込みが若干あるために、需要の顕在化は高いレベルになると思えて、契約戸数は6万戸を超えると考えられます。ただ着工は7万戸弱と多いために、在庫は5万戸を超えて、契約率は20%前後と低迷すると計算されます。
 需要を顕在化するには「嗜好を最大満足させるオンリーワン」の企画・間取りを行う必要があります。アイランドキッチンとリビングオープンデッキで平日はママ友とアフタヌーンティー、日曜日は家族で「オウチバーベキュー」などです。

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