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全国住宅産業協会主催で「熊本地震に関する緊急セミナー」が開催されました。

投稿日:2016年6月28日

全国住宅産業協会総務員会主催で「熊本地震に関する緊急セミナー」が開催されました。
最初に国土交通省住宅局建築指導課の高木専門官より「熊本地震による建築物被害状況と今後の対策について」の講演がされました。
地震による住宅被害状況について、木造建築物は「築年数40年超と推測される木造住宅の倒壊・部分損壊が多数確認された。これらのうち、柱頭柱脚、筋交い端部を確認できたものの多くは釘打ち程度の比較的軽微な接合方法であった。」「比較的最近の築年と推測される木造住宅が外観上無被害である例や、最近開発されたと推測される新興住宅地における外観上無被害の木造住宅が確認された。」など報告されました。
鉄骨造建築物は「調査した105棟のうち、層崩壊1棟、大破は15棟だった。層崩壊1棟は柱はり接合部施工不良賀確認された。」
基礎及び地盤は、「液状化被害は南区で広く見られるが、地盤沈下量は地域差が見られる。」
免震建築物は、「ダンパー取付け基部とRC造の床スラブとの間で破壊を生じていたものがあった。」などの報告がなされました。
 そして「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」を設立して9月頃に検討結果をとりまとめたい。国土交通省としては、同委員会における分析のとりまとめを踏まえて、建築基準のあり方を含め、建築物における耐震性の確保・向上方策について検討していきたいと説明がありました。
次いで地盤ネット総合研究所の横山取締役から「熊本地震現地報告」がされました。
標高10メートル以下での液状化が多く、全体で188haが液状化しており、旧河川の地形で多かつた。益城町では、狭いエリアで切り土・盛り土が混合しているのが特徴で、その側方流動に差が出たために建物に被害が出ているものが見かけた。また一見すると建物に被害は出ていないが液状化による不同沈下による傾斜でライフライン破損が起きているものも見られたと報告されました。
そして㈱M’s構造研究所・佐藤代表取締役より「構造面かみた建物被害について」報告されました。
被害を受けた建物では、筋交いと耐力壁のみで金物接合が無いものがみられました。その横で、構造計算をしているとみられる建物は被害がありませんでした。
またホールダウン金物が折れているものがあり、地震による横の慣性力によるものと見られます。活断層の揺れの方向性に対して建物の短い面が向いていると慣性力が最大になってしまったとみられます。そのすぐ横で長方面のものは被害が無かったのをみてもわかります。また揺れ柱と土台とアンカーがしっかりしているものは被害を免れています。
そして、構造計算をして耐震等級が3で地盤対策をしたものは被害が無かったとの報告でした。
最後に地盤ネットホールディングス㈱山本代表取締役から報告がありました。
地盤ネットで地盤保証した25件の内で被害が出たのは3件のみでした。その3件は、調査データで「貫入不能」となっていて人工地盤との混入地盤でした。それが側方流動の差が出て不同沈下したものです。その横で柱状改良した建物は被害がありませんでした。やはり益城町特有の一軒の建物の敷地内に違う地盤が入っているという特徴によるものです。こうしたエリアでは、スウエーデンサウンディング法による調査に加えて、土質サンプリングや地下水位測定などが必要となります。また微動検査により切り土・盛り土の混合などが判定できると報告されました。

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