投稿日:2013年12月4日
厚生労働省が平成25年10月の勤労統計調査の現金給与を発表しました。現金給与額は前年同月比で0.1%増加となりましたが、残業代が多かったためで、毎月の固定給となる所定内給与は前年同月比▼0.4%で17ケ月連続でマイナスとなりました。
昨年8月からの現金給与額の前年同月比と所定内給与の前年同月比の推移をみると
現金給与額の前年同月比は今年4月以降の平均は▼0.1%で、6月と10月はプラスとなっています。ただ所定内給与は昨年8月以降の全月マイナスとなっていて平均は▼0.5%と回復をみせていません。
10月の現金給与額がプラス0.1%になったのは所定外給与が前年同月比+5.4%と増えたためです。特に「電力・ガス業」が+14.0%と大きく増えました。また全体の16業種の中で14が前年プラスとなっているなど、企業は業績向上の報酬として所定外給与つまり残業代で増やしています。逆に固定給である所定内給与は上げたくないために、16業種で半分の8業種が前年当月比でマイナスとなっています。これは固定給の低いパート労働者比率を高めているためです。
特に「飲食サービス業」は労働者数405万人と多いのですが、一般労働者94万人に対してパートタイム労働者が310万人とパートタイム労働者で成り立っています。さらに「卸売業・小売業」は労働者数が868万人と一番多い業種なのですが、一般労働者500万人に対してパートタイム労働者368万人とパートタイム比率が高くなっています。
また「製造業」においても一般労働者の前年比は▼1.6%であるのに対してパートタイム労働者比率の前年比は+1.6%と比率を上げています。
つまり労働者数の多い業種でパートタイム比率が高くなっている流れが続く限り、一般労働者のベア復活となっても日本全体の所定内給与の上昇は難しいといえます。