投稿日:2013年11月22日
新築一戸建て分譲の上場6社の有価証券報告書・決算短信の最新版の集計をしてみたら、「仕掛不動産」が2972億円となり前年同期比+30%と大きく増えています。また「販売用不動産」も1332億円で前年同期比+31%と増えています。ということはこれから新規販売が増えるということになります。
新築一戸建て分譲の上場6社の有価証券・決算短信の集計すると
それぞれ四半期での報告になりますが、決算期違いで決算短信の対象月が7月末までだったり9月末だったりと違いますので単純に分析はできないのですが、傾向的には似たものがありました。
合計では「仕掛不動産」が前年同期比+30%と大きく増えています。これは消費増税駆け込み需要への対応分として、いつもより多いとも言えます。また、これは戸数ではなく金額なので、戸数が30%増えているということではなく、仕入れ単価が上がっているということも含まれています。
アベノミクスによる金融緩和の影響で土地価格が上がっていますので、その分の土地単価の上昇が含まれていると考えられますので、+30%の上昇分は戸数要因と価格要因に分けられるので、単純に半々と考えると、土地価格は15%上がったことになります。ということはこれからの新規販売は+15%前後上がるということになります。
そして「販売用不動産」が前年同期比+31%と増えています。これは現在販売中のものが多いと考えられるので、7月末現在で消費増税駆け込み需要への対応分として増やしているといえます。市場全体としては9月までは契約好調でしたので、これらは9月末までにかなり契約になり、9月末には大きく減ったと考えられます。
これからすると、来年の新築一戸建ての市場は「新規販売戸数は前年度比+10%、価格も+10%、だけど契約は反動減で▼30%」となると見込まれます。来年4月より消費増税のマイナスのカバーとして税的優遇策があるのですが、このように価格が+15%前後+消費増税分+1.5%(土地にはかからない)の合計17%前後上がると住宅ローンが組めなくなる人が出るいうことです。住宅ローンは可処分所得の30%を超えない程度となりますので、買った後のキャッシュバックや税金優遇では、この人達にはなんの意味もありません。
その対象は年収400万円以下の人が多いと考えられますが、これらは住宅ローン全体の15%弱となります。となると、来年に+17%上がり「新々価格」になると、それだけで今年の契約戸数より最大で▼15%くらい減ることになります。
駆込み需要が2.5万戸前後と推計されて、これは来年度以降に反動減となるので、来年度の基礎需要10.5万戸から減ることになります。
となると来年度の契約見込みは、
基礎需要10.5万戸-「新々価格」減▼1.5万戸-駆込み先食い▼2.5万戸=6.5万戸
となり、今年の契約見込み14万戸から▼54%減ることになってしまいます。
ただ、新規販売は今年の見込み14万戸から+15%増えると見込まれるので16万戸と計算できます。
そうなると新規販売は16万戸ですが契約は6.5万戸で契約率は40%と今年の100%から大きく落ちることになります。ただ、新規販売が多くて契約が少なければ在庫が増えますので「在庫ブレーキ」が効いてきて新規販売は減ることになります。
ですので来年度前半は「新規販売増・契約低下」で、後半は「新規販売減・契約減」となると考えられます。