投稿日:2013年11月21日
新築一戸建て分譲の大手であるアーネストワンの第二四半期(平成25年7月~9月)の有価証券報告書が発表になりました。「増収増益」となっていますが、売上総利益率が低下しているのとキャッシュフローがマイナスとなっていて、部資材費の値上がりで利益率が低下しているのと消費増税駆け込み需要で在庫が増えていることがみてとれます。
主な指標は
・売上高 598億2000万円 (前年同期比+23.2%)
・売上総利益 92億8100万円(前年同期比+10.6%)
・売上総利益率 15.5% (前年同期比▼10.3%)
・販管費 41億9200万円(前年同期比+26.8%)
・経常利益 51億5200万円(前年同期比+0.3%)
・営業活動によるキャッシュフロー ▼177億1500万円(前年同期は▼5億2400万円)
売上総利益率が15.5%と低下しています。四半期ごとの推移をみると
前年同期である平成24年7月~9月の売上総利益率は17.3%でした。それが10月~12月は16.6%に下がり、平成25年1月~3月は13.5%と大きく落ちました。在庫が多くなったために、値引き・販促をして販売をしたためです。そのため販管費も45億円と大きく増えました。
そして平成25年4月~6月の売上総利益率は16.6%と10月~12月と同じとなりましたが、7月~9月は15.5%と下がりました。販管費も42億円と増えていますので、1月~3月ほどではないですが部資材の値上がりがあったのですが、販売価格に転嫁できていないためです。
その他では、「販売用不動産」が245億円となり3月の130億円から+115億円増えています。つまり在庫が増えているということです。消費増税駆け込み需要で契約が好調ですが、その分在庫も積み増しているということです。
また、これから販売する「仕掛販売用不動産」が505億円あり3月末の411億円から+94億円増えています。この先も新規販売が増えていくということです。
ただ、この分は施工費・部資材費などの各種原価の上昇分に加えて、土地取価格の上昇分が入ってきていますので、新規販売価格をその分上げたいところですが、なかなか転嫁しずらいところです。なぜならお客様は家賃並みの住宅ローンを組む人が多いため、上げてしまうと買えなくなってしまうのです。
アーネストワンの販売平均価格が2400万円前後でお客様の平均像が年収400万円前後なため年収の6倍で変えているのです。それが販売価格がもし10%上がると2650万円となり年収で450万円以上が必要なります。つまり450万以下のお客様は買えなくなってしまうということです。
販売価格を上げるとお客様が減ることになってしまい、上げないと利益率が下がることになります。この先は難しい判断となるところです。