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10月の貿易収支は1兆円の赤字。輸入額が7兆円超と増えたため。

投稿日:2013年11月20日

財務省が貿易統計の10月分ほ発表しましたが貿易赤字が1兆907億円となり10月としては最低の数字となりました。輸入が7兆1952億円で直近の最大となったためです。

過去3年の輸出入の額の月別の推移をみると

東日本大震災前の2010年は輸出額が5兆6000億円平均であり、輸入が5兆円平均であったために貿易収支は月5000億円前後と好調で「貿易立国・日本」の面目躍如たるものでした。

それが東日本大震災による原発停止で火力発電所再稼働のための原油輸入により輸入額が5兆8000億円前後と以前より+8000億円増えました。そのために貿易赤字体制となってしまいました。

そこに2012年に入り、ユーロ危機による円高で輸出額が低迷して、そこに中国尖閣問題が発生して中国向け輸出が低迷して、2012年10月から12月の平均輸出額は5兆1000億円まで減りました。以前より▼5000億円減ったことになります。この時点で輸出は5兆円で輸入は6兆円という貿易赤字1兆円体制となってしまい、景気低迷による政治不信へとつながりました。

それを受けてアベノミクスが登場して、円安になり輸出が5兆8000億円平均に戻して「赤字1兆円体制」を脱却することができました。しかし輸入額は2013年に入り6兆円を超すようになり、さらに月を追うごとにその額を増やして10月にはとうとう7兆円にまで増えてしまいました。冬場に入り暖房用の灯油使用量などが増えてきたことが要因です。これで10月現在では、輸出6兆円で輸入7兆円で再び「赤字1兆円体制」に戻ってしまいました。

国際収支としては黒字基調で、外貨準備高も多く、対外資産に至っては世界最高なので、貿易赤字でも日本経済に危急の問題ではないのですが恒常的に毎月1兆円赤字となると、資産はあり金融収支はあるのですが生活費で小銭が出る一方でいずれ資産を売却しないといけないというキャッシュフロー的にマイナスが続き、為替レートに影響を及ぼします。そして20年という単位でみれば、いままで蓄えた富を使い果たしてしまう時がきてしまいます。

このキヤッシュフローのマイナスは「ドル高・円安」になり、さらに輸入額が増えてしまうのですが、輸出額が同じ増えれば問題はないのですが、数量的にそんなに増えていないのが問題です。

輸出品目の代表である自動車も数量的にはあまり伸びておらず、内容的には中級車・SUVなどが輸出の中心で、低価格車は現地生産によるものが多いです。そのため今後とも数量的に多い低価格車の伸びは期待できず、中級車のみなので円安による手取り額は少し増えるかもしれませんが、輸入の伸びには到底追いつきません。

この輸出構造の転換はかなり難しいことなので、輸入をなんとかしないと「貿易赤字1兆円体制」→「2030年日本破たん」につながってしまいます。

火力発電に頼る構造を20年以内には「再生エネルギー」に振り替えないといけないことになりますが、太陽光発電は高コストで増やせないですし、風力も地熱もコスト性や常時発電能力を考えると、その費用性・実用性開発のためには残された時間は少ないといえます。

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