NEWS&TOPICS

平成26年度の住宅着工予測は85万戸。

投稿日:2013年11月15日

アトラクターズラボ株式会社・戸建分譲研究所が平成26年度の住宅着工予測を計算しまた。平成26年度の住宅着工予測は85万戸となり、平成25年度見込みの91万戸から▼6.7%下がることになります。

■30歳代人口は平成22年度比で▼10.6%

住宅需要の元である人口を見る必要があります。特に住宅一次取得世代である30歳代は分譲住宅において6割以上を占めることになるため、その人数を把握する必要があります。

30
平成26年度の30歳代の人口人数は1598万人となり、前年度比で▼2.8%減り、住宅着工がほぼ需要通りの年であった平成22年度比では▼10.6%減ることになります。そのため平成26年度の住宅基礎需要は、平成22年度の基礎需要より▼10.6%減ることになります。

■持家の平成26年度の住宅着工は29.7万戸。

持家の平成25年上半期は消費増税駆け込みで18万2940戸となり、前年同期比で+2.1万戸(+13%)増えました。

Photo_2 月別の推移線をみとも平成25年度線(赤)は例年と大きく上方乖離しています。これは間違い無く消費増税駆け込みのプラスとなります。

そして平成25年の下半期はその反動減が入り13万7500戸になると推計されます。平成24年下半期15.5万戸から1万7500戸減ることになります。ですので消費増税の上乗せ分2.1万戸-1.75万戸=▼0.4万戸が次年度以降の着工を押し下げる要因となります。

そして過去の月別推移をみると、平成24年度は全般的に例年を上回っています。これは東日本大震災の復興需要が乗っかったものです。

平成23年度は7月・8月に大きく増えています。これはエコポイント終了とフラット35S1%優遇終了の駆け込みという政策効果による押し上げです。

となると直近の年では平成22年度が一番素直に需要が現れていた年といえます。その着工戸数が31万662戸ですから、これが基礎需要に近い戸数とすると、そこから人口減少が▼10%なので、「31万×0.9=28万戸」となり、平成26年度の持家の基礎需要は28万戸となります。

そこに平成26年度のプラス要因として、税制優遇効果があり、次の消費増税の駆け込みがあります。それらを平成25年度の駆け込みと同じ2.1万戸とすると

「基礎需要28万戸+先食い▼0.4万戸+プラス要因2.1万戸 = 29.7万戸」

となり、平成26年度の持家の住宅着工戸数は29.7万戸と予測されます。

■貸家の平成26年度の住宅着工予測は30万戸

貸家の平成25年度上半期は17.7万戸となり前年同期に比べて+2.1万戸(+13%)増えています。これも持ち家と同様に消費増税駆け込みの先食いとなります。下半期はその反動減があり14.7万戸と推計されて前年同月より▼1.7万戸少ないです。そのため平成25年度としては+2.1-1.7=0.4万戸が消費増税による押し上げで、次年度の先食いとなります。

26 月別の着工戸数の推移をみると平成25年度線は過去6年で一番多くなっています。これは間違い無く消費増税による上乗せとなります。

そして過去の推移をみると平成24年度10月に消費増税駆け込みの第一陣が起きています。平成23年度は7月・8月に持家と同じ政策効果で大きく増えています。

そのため持家と同様に平成22年度が基礎需要に近い着工戸数となったと考えられます。

平成22年度の貸家の住宅着工が29万263戸ですので、そこから人口減少▼10%を引くと26.1万戸となります。そして先食い分▼0.4万戸を引くと25.7万戸となります。

プラス要因として、金融緩和による不動産投資が活発になっているため需要にかかわらず賃貸住宅を建設するのと、次の消費増税り駆け込みが入り、合わせて3.3万戸の上乗せ要因と計算されます。

となると、平成26年度の貸家の住宅着工の予測は30万戸となります。

■マンションの平成26年度の住宅着工予測は13万6000戸。

そして分譲マンションですが、着工から引渡しまでの工期が2年以上となるために平成25年度の住宅着工においては影響はありませんでした。

26_2 他の要因としてはアベノミクスによる契約好調が続いていて、足元では在庫が大きく減っているために平成25年度下半期は6万7000戸と推計されて前年の下半期の6万4119戸を上回ります。そのために平成25年度は13万4631戸と推計されて平成24年度の12万4027戸より+8.5%も増える見込みです。これは平成25年度の住宅着工の業態別としては最大の伸びとなります。

その流れが平成26年度も続いて増えると考えられます。

ただ、都心ハイタワーマンションが好評なのですが、その用地は多くはなくて年間に数棟しか販売されません。かと言って郊外に建設するかといえば、売れ行きは都心より落ちるために、都心で足らない分の数合わせに近いといえます。

ですので平成26年度のマンションの住宅着工予測は13万6000戸と予測されて、平成25年度に少し上乗せされる程度となります。ただ主要業態別には最大の伸び率となります。

■分譲戸建の平成26年度の住宅着工予測は11万戸

分譲戸建の平成25年度上半期の住宅着工戸数は6万7775戸となり前年同期では+6769戸・+11%と増えました。消費増税駆け込みによるプラスです。下半期は5.7万戸と推計されて前年同期比で▼6000戸減ります。そのため上半期と下半期でチャラとなり次年度繰越しは無いと予想されます。

26_3 分譲戸建だけ消費増税の繰越しが無い理由は、土地価格が大きく上がってしまっていて地元需要価格との乖離が大きくなり、販売を見合わせることが増えるためです。

戸建分譲の購入で多いのが「家賃並みの住宅ローンなら資産になる」という理由で、買う価格は家賃並みの住宅ローンに相当するものになります。それを超えると生活が苦しくなるのと、将来の支払いにリスクを感じるために買わなくなります。また、家賃というのは平均的に可処分所得の30%前後に設定しているひとが多いので、住宅ローン査定の年収の30%までしか貸さないということにもひっかかってくるのです。

それを販売する戸建分譲デベロッパーは知っていますので、土地価格が上がってしまって、地元需要価格を+10%以上増えてしまう計算になると、その土地を買いません。その土地を買って無理やりに販売しても、お客様が住宅ローンをくめないので、結局10%の値引きをすることになり赤字となってしまうことがわかっているからです。

これらの要因により分譲戸建の住宅着工は抑制されてきます。

そして平成26年度については、他の業態と同じで平成22年度を基礎需要とすると11.3万戸×0.9=10.2万戸となり、これが平成26年度の基礎需要となります。

そこに土地の値上がりによる需要の減少が加わります。それを▼8%と仮定すると、10.2万戸×0.92=9.4万戸となります。

そしてプラス要因として、政策効果と消費増税が加わりますが、それのみを考える戸建分譲専業で無いハウスメーカーとか鉄道会社とか総合開発会社などが用地仕入れを増やしていて、それで着工が+20%押し上げられます。

ですので分譲戸建の平成26年度の住宅着工予測は11万戸となります。

■平成26年度の住宅着工予測は85万戸

これらの各業態の予測を合わせると平成26年度の住宅着工予測は85万戸となり、平成25年度見込みの91万戸から▼5万戸・▼6.7%減ると予測されます。

26_4

各業態の基礎需要の合計は77.8万戸になるので、それからすると7.2万戸が押し上げられるとなります。これは平成27年度以降の反落要因となり、消費増税10%以降に響いてくると考えられます。

プラス要因としては、基本給がベースアップされて、家賃の額も上げて、住宅ローン設定価格が上がれば、住宅着工は増えてくると考えられます。

さらに株式市場が2万円を越すようになると、40歳以上の持家の方の転売・建て替え意欲が出てくるのて、資産効果で不動産投資意欲が出てきて着工を押し上げます。これらで3万戸くらいの押し上げが可能と考えます。

マイナス要因としては、マンションが「新々価格」になり20%上がった時に実需がついてこれずに大きく契約低迷する可能性があります。

また金利が上がってしまうと購入可能額が下がります。また貸家への投資も鈍ります。

これらのマイナスは▼5万戸と見込まれます。

ですので、平成26年度の住宅着工予測は80万戸から88万戸となります。

トラックバックURL

ページの先頭へ