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建設労働職人の不足が悪化している。

投稿日:2013年10月29日

建設労働職人の不足が続いています。平成25年9月現在では過不足率が2.5%で前月2.1%から0.4%悪化しました。前年同月1.5%からは1.0%もの悪化と過不足率の悪化が続いています。

国土交通省が発表した建設労働需給の平成25年9月の建設技能労働者8職種の過不足率は2.5%で悪化しています。

建設技能労働者8職種の中で一番過不足率が高いのが「鉄筋工(建築)」で5.8%もの過不足となっています。前月が5.5%だったので前月より0.3%悪化していて、前年同月は3.5%でしたからなんと2.3%もの悪化となっています。

鉄筋工の過不足率の過去10年の推移をみてみます。

鉄筋工の過不足率とマンションの住宅着工の前年比との比較するとよくわかりますが、マンションの着工の増減に振り回されていることがわかります。

平成15年から16年は鉄筋工の労働者は仕事が少なくて余っていました。これは建設技能者が「3K(キツイ・汚い・危険)」とみられているために新規就労者が少なために、定年などで離職する人の補充ができないためです。

それが平成17年には住宅ミニバブルが起きてマンション建設ラッシュになったので鉄筋工が不足となりました。鉄筋工の労働者が減っている中で突然仕事が増えたのですが、すぐに新規就労者が増えるものでは無くて不足となるのです。そのため平成18年には過不足率は6.0%までになりました。

ただミニ住宅バブルが終わりマンション建設が急減すると平成20年には仕事が大きく減り労働者は余ってしまい過不足率は▼1.5%となり、さらに平成21年にはマンション着工が前年比▼59%とほとんど仕事が無くなったために、過不足率は▼4.8%となりました。これはこの時に仕事が無いし、労賃もたたかれるので離職した人が多くいたためにまだ▼4.8%にとどまったということです。

そこで東日本大震災の復旧工事が突然発生したので過不足率はマイナスから一気に+7.2%となりました。建設技能者が減っているところに突然仕事がきたので過不足になるのは当たり前です。また、仕事場が東北なので長期出張となり一時的な仕事であるために新たな就労者は増えないので過不足率はその後も高いままとなり、現在に至っています。

今回はアベノミクスバブルに加えて東京オリンピックによる仕事の増加なのですが、これも長期的なものでは無くて有限期間のものなので新規就労を呼び込むには難しい状態です。

幸いにしてさんざん叩かれていた労賃は上がっています、ただ「3K(キツイ・汚い・危険)」は変わらずホワイトカラーに比べるとイメージは悪く、就労環境も厳しいので、普通の親が就職させたいとは思っていません。そのために現場では外国人の就労が増えています。

建設技能労働者の過不足は当面続くでしょう。その補いは外国人頼りとなるものと思えて、望ましい状態ではありません。建設技能者の健全な発展のためには「3K」の職場改善と長期的雇用と賃金の安定上昇という環境を作らないといけないでしょう。

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