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世界主要都市の不動産収益比較で東京が世界一

投稿日:2013年9月17日

世界的に展開している不動産のザヴィルズが世界主要10都市の不動産収益比較 の最新版を発表しました。それによると東京が世界一に不動産収益が良い都市となりました。オリンピック開催で注目を浴びていますが、世界の投資家よりも注目されることになります。

この不動産収益比較は、その国の長期国債(10年)の金利と平均的賃貸不動産リターン率を比較したものです。

①東京 3.9%

②ニューヨーク 3.6%

③パリ 2.7%

四位以下は、ロンドン・シンガポール・シドニー・香港・上海・モスクワ・ムンバイとなっています。

一位の東京は、賃貸不動産の期待収益率が4.7%となっていて長期国債が0.8%であるために、長期金利による資金をもとに賃貸不動産運営すると3.9%の収益があげられるということです。これは国債金利0.8%と超低金利にあることが一番大きな要因です。そして賃貸需要も安定しているので空室率も低くなっていることがあります。東日本大震災直後は外人が国外退去したために高級賃貸などで大量の空室が出ましたが、現在は落ち着いてきていて空室率は改善されています。また円安によりタワーマンションなどに外国人の買いが多くなっていて、需要供給ともに活発となっています。そのために表面上の収益率は5%前後と決して高くはないですが空室率が低いのと家賃の上昇見込みがあるために、実質の収益率が世界的に高くなったのです。

二位にニューヨークが入りました。アメリカの長期国債金利は8月までは2%前後で推移していて、不動産収益期待が5.6%と高くなっていました。リーマンから5年経ってかなり金融的に回復してきているので、賃貸空室率が改善して、家賃も上がり気味のようです。ただ、長期国債の金利が9月に入り3%を超えています。金融緩和の終了を見据えてのもので、そうなると今後上がることが考えられますので、金利差引後の期待収益は3%を切るかもしれません。

三位にパリが入りました。長期国債の金利は2.32%で、不動産収益期待は5%前後となっています。長期金利はユーロ危機の影響があり上がり気味です。ただ不動産収益は安定しているようです。賃貸としては新規供給はあまり無くて、空室率は良いです。家賃も高止まりしています。そのため不動産市況としては安定しています。それは賃貸オーナーのほとんどがパリ市と元貴族などの大オーナーでしめられているためです。これはパリが現在のような街並みを形成した150年前から続いているためです。そして、観光客としては世界一の都市であるために需要も高いことが不動産市況を高止まりさせているといえます。

この世界上位三市をみると、人が多く訪れる「憧れの地」であることが賃貸需要を高めることになっています。そして家賃が底固くなり、新規供給が多くないために空室率が良くなり、不動産収益がます期待できます。ただ、そのベースとして経済が好調であることがあり、そのために国債金利が低くなっているとことがあげられます。

その点でいうと、ニューヨーク・パリは国債金利の上昇懸念があり、唯一日本のみが比較安定しているといえます。その日本の懸念としては財政バランスの悪化により国債不安がおきることですが、海外債務残高は世界一を継続している上に、東京のように海外から資金が入っている限りにおいて、行政財政としては赤字ですが国全体の収支としてはプラスを継続するでしょう。

そうなると国際比較で不動産投資資金が東京に入り、ますます安定感を増すことになります。その点において、不動産として世界一の都市はしばらく続くものと思えます。

あとは、金融的需要や行政的需要以外での民需や外需を取り込んでいければよいのです。そのためには規制緩和やTPPにより障壁などを減らして、新規需要を生み出す土壌づくりとIT環境インフラ整備などによる情報生産性・付加価値創出力の向上が必要となってきます。

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