投稿日:2013年5月20日
不動産証券化協会が会員に対して「不動産私募ファンドの運用資産」についてアンケート調査を行いました。「私募ファンド」とは適格機関投資家のみを対象としたり、少人数に限定して販売されるファンドです。「私募ファンド」に対して「公募ファンド」は一般投資家に広く取得勧誘されるファンドです。
この会員による私募ファンド運用資産額は10兆5000億円で前年度よりも増えています。
私募ファンドは2008年に13兆を超えましたが、その後毎年少しづつ減少して2011年に10兆3725億円になりました。そして2012年はやや増えました。
また参考としてJ-REITの2012年の運用額は9兆520億円となり私募ファンドよりやや少ない額となっています。ただJ-REITは2005年に3兆4725億円であったものが毎年増えてきています。
この私募ファンドが増減をしたのは私募ファンドの数が2008年に最大となりその後減少したためです。それは私募ファンドが物件特定型のものが多くてその運用期間が3年以上5年未満のものが多いためです。
その物件の内容を見ると、「オフィス」が515物件で4.8兆円で、「住宅」が689物件が1兆円で、「商業施設」304物件で1.7兆円などが多くなっています。
これは「オフィス」が運用額全体の58%をしめていて、その比率は2005年の45%から増えてきています。また「商業」は20%で、2005年は12%ですので増えています。その逆に「住宅」は12%ですが、2005年の18%から比率を下げています。つまり私募ファンドは「オフィス」と「商業」の運用額が増えているといことです。
それは「オフィス」と「商業」の一物件当たりの運用額が大きいためです。「オフィス」は新規物件で平均85億円で住宅21億円の4倍となっています。
とうことは「オフィス」の賃料相場の高さが私募ファンドを支えているということです。逆に言うと東京のオフィス賃料相場次第で私募ファンドの運用が左右されといっていいでしょう。
これは住宅にとって良いことといえます。大きな投資のお金で賃料相場が動かされなくて良いからです。今後、金融緩和で20兆円前後というお金が不動産業界に流れてきますが、それが住宅に流れるのは現在の構成比と同じ12%となると2兆円にとどまり、住宅業界全体が20兆円を超えるので、その資金流入増加率は10%を下回るので、この金融緩和による価格・賃料相場の上昇も10%以内に留まるためです。