投稿日:2013年2月21日
来年度の国土交通省の不動産政策の中の柱である「中古不動産流通の活性化」における3つの主要な事業が予算決定を待つのみになり、ほぼ展開される見込みとの話しを国土交通省よりお聞きしました。その目的達成するために必要な考え方の私見を述べさせてもらいました。
まず一つは■不動産流通市場における情報ストック整備・提供方法に関する調査・検討
性能・品質、履歴、価格等、分散している中古住宅取引に必要な情報を一元化に集約・管理することによって、消費者が求める情報を適時適切に提供できる環境を整備。
→ 考え方は賛成です。レインズなどを中心に、現在相場情報とか住宅履歴どあるとか路線価とか登記情報を簡単にとれるのは、不動産業界特有の「業者側に情報が多く、お客様は全体像をつかめず、ダマされるのではないかという不信感を醸成している」を無くして、お客様の「心の障壁」を取り去り、簡単に中古住宅を検討し購入至る流れを作ります。
ただ現在の考え方では不足するものがあります。まず「消費者が求める情報」ではなくて「消費者が必要となる情報」です。
「消費者に必要となる情報」とは物件概要とか性能表示とか路線価などの定量情報に加えて、学校やスーパーや公園や犯罪などの地域の定性情報です。定量情報は必要条件であって必須となるもので重要ではありますが、定性条件は十分条件であり、むしろこちらの方が住宅購入決定において最終判断材料となる場合が多いです。
売りずらい中古住宅を売る場合は、ターゲットセグメントし、そのターゲットに合わせて物件の良いポイントをインサイト抽出して、コンセプトメイキングして広告制作して、コンタクトポイント広告する必要があります。
これらは「住宅不動産マーケティング」というか、「IT時代における契約のための心理経済学(行動経済学)」を知らないとできません。そのことを不動産業界全体としては、経験値として行っている人はいますが理論的に構築ができていません。そのために不足してしまうのです。
情報過多で供給過剰で金融緩和の時代の住宅不動産選びは「賢い選択の時代」であり「ワンポイント満足」であり「他人が褒める・評価することが大事」な時代です。「消費者が求める情報」ではなくて、「消費者が必要となる情報」をいかに創造し提供できるかを考える必要があります。
このような情報を創造して加えることが中古不動産の流通の活性化を促進すると思ってます。
二つ目は■中古不動産流通市場整備・活性化
宅建業者と関連事業者の連携によるワンストップサービスの提供を促進することで、消費者が中古住宅を安心して取引できる環境を整備し、不動産流通市場の活性化を図る。
中古住宅の売買にあたり、リフォームやインスペクションや住宅ローンやアフターサービスを不動産仲介業者を一本の窓口として完結できるようにしたら良いということです。
その際に、まずリフォームやインスペクションや瑕疵保証の費用負担を誰がするのかが問題になります。
それは基本的に売主負担が理想的です。ただ、売主が費用負担をして、それを販売価格に上乗せできれば良いのですが、多くの場合は何もしなくても売主が希望する金額までにも相場観としての販売価格が届かない場合が多いために、なかなか追加費用の負担はできないことが多いです。
逆に買主が負担したらどうなるかというと、中古であっても相場感がありますので、相場観に沿った商品を選びます。ところがそこにコストを乗せるとその物件は相場より高いものとなり、他の物件の方が魅力的になりそれは選択されないというジレンマにはまります。
このために、現在の中古売買ではインスペクションやリフォームや中古瑕疵保証がほとんど使われないのです。
となると不動産仲介業者が負担するしかありません。これは仲介手数料の中で吸収するのではなく、物件の価値創造をして、ただの中古物件を新たな価値の物件として販売価格が上がるようにリフォームするのです。その物件の良さをどれだけ引き出せるかの価値創造力が不動産にとって重要になります。そのためにはマーケティング知識が必要になります。
三つ目は■不動産流通市場における建物評価手法構築のための調査・検討
築年数のみによらず、実際の建物の使用価値を反映できる新たな建物評価手法の構築
一番大きな問題は、中古の建物が法定償却年数の残りが無い場合には物件担保価値が無いために個人の収入があっても住宅ローンの設定ができないということです。これを改善して、建物の原価償却年数にかかわらず使用価値で査定ができる基準を作り、それに沿った住宅ローンを作ることが必要です。
現在の建物はマンションで法定償却の47年で使えなくなるなんてことはなく、メンテさえすば100年以上は楽々使えます。木造住宅も法定20年どころではなくこれもメンテすれば50年以上は持ちます。
中古住宅は築年数ではなくて、その使用性で判断されるべきです。
ただ、不動産全体の価格は相場観に左右されます。それは、単純にみると新築を含めた「需要と供給バランス」と景気動向と金融金利動向などに左右されます。ただ根本的には人口動態と賃貸家賃相場に左右されます。
賃貸相場が存在するエリアでは、旧耐震の建物であっても貸せば駅との距離に応じた賃料が取れるのですから収益不動産としての価値が必ずあるのです。
ただ私は中古住宅の不動産査定においては「再販価格方式」が良いと考えます。現在購入して10年もしくは20年経った後にいくらで売れるかという計算をするものです。
地価の動向は長期的にはGDPをベースにした人口数と移動人数に収れんします。人口は「すでに起きた未来」といわれるように0歳児の人数がわかっているので、住宅においてのピーク年齢32歳とすると、32年後の基礎需要が計算されます。それをベースに地価の形成は、都心からの電車の時間を基本に、人気度・商業・教育などが加わって形成されます。その成立要因を時系列分析すれば良いのです。これで、人口動態と現在地価形成要因の変化率により10年後の地価は計算できます。
この「再販価格方式」により10年後の価格が設定できれば、それを担保価値として使うことができます。それを住宅ローンのベースとして金額計算すれば、確実に今よりも多くの住宅ローンが組めて、今よりも多くの中古住宅の流通ができるはずです。