マイスターインストラクション

SWS試験だけでは不同沈下する可能性は否定できない。

投稿日:2013年9月9日

不同沈下の事例の大半でSWS調査結果と違っていたことが最近わかってきました。

一戸建住宅などの地盤調査においては、大がかりで費用のかかる地盤調査は行えないものです。そのため、一戸建ての地盤調査では、簡易で安価なこと、複数箇所の地盤調査ができること等から、スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)を実施するのが、ほとんどとなっています。しかし、SWS試験は安価で簡易であるがゆえに、万能な地盤調査とはいえません。そのために不同沈下事例の中の多くがSWS調査結果で大丈夫であったのに起きておきているものがあるのです。

その原因は

① SWS調査は地盤の強度を調査するが土質などはわからない。

② SWS調査した範囲は大丈夫でも、その下とか前後の地盤が動いてしまう。

つまり、東日本大震災のように地震長期波動が強く長く広く起こると、地下の数十メートルの中でも弱い地盤が崩れてしまい全体が不同沈下することがありました。また山全体の土砂崩れなどは固有の小さな土地では対応できません。

そのため、一戸建ての地盤調査では、事前に資料調査(ペーパーロケーション)と現地踏査(現地ロケーション)を実施し、調査地の地盤概況や問題点を明らかにした上で、SWS試験を行うことが必要です。

資料調査では、地形図・表層地質図・空中写真などの現地資料、既存資料および古い地図などの近隣データ等を収集して、事前に調査箇所の地盤の概略を把握。

SWS試験の実施前に行う現地踏査では、現地において地形・地質、敷地の傾斜や敷地境界の高低差、敷地履歴や造成経年、造成盛土の状況等の把握を行い、資料調査の結果と照合しながら地盤状況を把握します。

また場合によっては、ボーリング調査や標準貫入試験、土質試験を実施する必要性もあります。

今後、SWS試験しかしていない一戸建てで、都道府県が発表している防災マップで液状化の可能性が高いとされているエリアでは再調査したほうがいいでしょう。

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