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新築一戸建ての価格 | 短期的には下がる。中長期的にはコントロール次第。

投稿日:2012年8月22日

新築一戸建ての価格は、この先も下降します。

新築一戸建ての価格の形成は、基本的には需要供給で決まります。

「需要」とは買いたい人がどれだけいるかということで、「供給」とは販売される戸数です。

「需要」は人口数×持家取得意向率×住宅購入顕在化率で計算されます。

新築一戸建ての場合は主に25歳から39歳までに全体契約数の8割が購入されています。

この25歳から39歳を住宅一次取得世代と呼びますが、この人口数が根本的な数字となります。

首都圏の住宅一次取得世代は毎年減っています。

それは40歳前後となつた団塊ジュニア世代は一年代で190万人いたのですが、25歳以降の「バブル後世代」は100万を少し超えるしかいません。その差は90万人も減っているのです。

そして、住宅購入に大事なのが、この年代の人達が動くことです。

親元にいれば、実家があり、新たに住宅を買う必要が薄いです。大学入学なり、就職なり、転勤なりで移動すると新しい土地ですから、賃貸住宅に入るなど、分譲住宅を買うなど、必ず住宅が必要となります。

ですので、移動する人口数、統計データ的には「転入数」が大事です。

その転入数は減っています。

1996年からの推移をみますが、全国の転入数は減少の一途です。

2011年は震災の影響で一時的に転入者数が増加しましたが、基本となる住宅一次取得人口が減少してることもあり、この先も減少すると見込まれます。

すると、新築一戸建てを買いたい人は減ってしまいます。となると価格も下降傾向となります。

過去の新築一戸建ての価格の推移をみると

1996年以降は下げ続けました。バブル崩壊による土地の下落によるもので、2005年の3370万まで下げました。

その後住宅ミニバブルがあり2007年には3656万まで上がりました。この背景には団塊ジュニアの住宅購入世代入りがあります。住宅一次取得世代人数が1980年代以来の最高となったためです。

そのため転入数も多かったため、分譲住宅の需要が高かったのです。

また、現状の首都圏の借家家賃から計算される新築一戸建ての需要価格は3072万となります。これは家賃の額が下がっているためと、低家賃の住戸が増えたためです。ワンルームが増えたためです。

それらを踏まえて、この先を計算すると、

2013年は3370万下がり、バブル後の最低価格となります。

その後、毎年40~50万下がり、2020年には3100万円前後となります。需要価格で落ちつくということです。

その先は、土地の価格動向によりますが、その価格形成は経済成長率×人口動態に左右されますの、緩やかな下降が続くものと考えれます。

となると、新築一戸建て分譲の価格は長期的に緩やかな下降を続けるものとなります。

ただし、新築一戸建ての価格は需要供給で形成されるので、供給が少なくなれば、価格は維持・向上されます。

例えば、フランスのパリなどは、ナポオン3世の時代の150年前に市内の建物が建築されていて、歴位遺産でもあるので取り壊しはあまり認められていません。ですので、新築はほとんどありません。それがたまに出ると、1億円近くの値段がつくことがあります。

日本でも、需要の減少に合わせて供給がコントロールされれば、値段は維持されます。

ということは、中古不動産の価格も維持されることになります。パリでの不動産取引はほとんどが中古ですが、建物の状態と立地により価格が変わるのみで、新築の販売量によって中古の価値が変わることはありません。

当面はパワービルダーなどが販売を増やしていますので供給量は減りませんが、中長期的にコントロールできる状態にしていきたいと思います。

 

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