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新不動産金融経済理論

投稿日:2018年10月18日

不動産金融を取り巻く経済理論が著しく現実と乖離しています。「バーチャルクラウド理論」のようなものを創出すべきと考えています。
日本においては土地の価値は「路線価の合計」で、不動産は「原価償却残高」が正式なものです。
しかし、現在の土地不動産の価値は、①収益率、②価格変動予測率、③金利に左右されます。
東京の土地であれば、一般の住宅を建てた時の需要価格が最低で、宿泊施設として稼働させた時の投資収益期待率が最大となります。
その土地の地域として、政府統計による宿泊稼働率が85%以下か、民間統計での賃貸空室率が15%以上か、その地域が人口減少・転出超過で新規住宅需要が少ない、などの地域においては、投資資金がその地域に行かないために、住宅ストック過剰需要過小のため中古住宅・土地は価値が計算できません。また500万円以下の土地不動産であると、不動産業が取り扱うだけ経費損となってしまうため、お客様に請われて仕方無くレインズに最低限の登録はするけど、販売シートなどは作らないのです。
つまり路線価はあるけど実際の価値は無い、むしろ古家の解体・整地費用や固定資産税などがマイナスと算定されてしまうケースが多くみられます。
路線価や公示地価などを計算する不動産鑑定士などは、この辺の事情を知っていますが、路線価の作成にあたっては政府の考え方を忖度しなけれはせなりません。
ただ最近の外国人の来日の多さは、地方の土地不動産を黄泉がえさせることにもつながっています。新しいインバウンド需要による土地不動産の価値が生まれていて、古民家で7000万円を超える取引が起きています。しかし、これらは長期的にみると期待収益計算に含みずらいものがあります。
不動産は長期投資なために、30年間稼働率と家賃相場の下落見込みを考えないといけません。最近の外国人によるインバウンド投資が30年続く保証やデータがありません。そのため収益率計算では価値創出しずらいものがあります。
同じことが価値変動予測率による価値創出にも言えます。これらは主に短期的投機資金が多いために、東京オリンピックなどビッグイベントに支えられることはあります。ただバブル期のようなことは無く、開発型価値創出が多いです。
一番の大きな問題は投資期待収益率と金利の差による不動産価値です。さらに言えば国際為替金利差(イールドスプレッド)による投資での価値創出です。
これは超低金利が終了すると、不動産価値が無くなってしまうということです。
現在の日本の政策が維持される限りにおいて低金利は継続されると思いますが、外的要因などがきっかけとなり市場金利が高騰し、政府金利上昇催促相場となってしまうと、低金利相場が終了せざるを得ず、不動産価値は大きく損なわれます。すると日本の金融は不動産担保主義が多いために、金融が縮小されます。その時に日本は深刻なデフレ経済に陥ってしまいます。
日本の土地不動産金融経済理論としては、不動産テックやクラウドファンディングや行動経済がなどを取り入れて、「バーチャルにより価値つけられて、クラウドで支えられるリアル」のような新たな理論を構築して、リーマンショックのような外的要因による暴落を防ぐべきと考えます。

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